あまいものって、《しあわせ》の味がする。
大人になるにつれて、その味覚は私を狂わせていった。
いつも、私の感覚を狂わせる。
どんなにイラついたって、
どんなに苦しかったって、
あまーいお菓子を一口つまめば、たちまち
《しあわせ》の味に舌が踊り、
その《しあわせ》の海に溺れていく。
《幸せ》
ではなく。
《シアワセ》
でもなく。
《しあわせ》
の、味がする。
あまーい粉砂糖は、
実はしあわせの実を砕いて粉状になったものを、魔法のステッキで一振りおまじないをかけたものかもしれない。
それくらい、甘いものは私を《しあわせ》にしてくれる。
なぜ、《しあわせ》なのか。
至極単純な理由である。
「だって、ひらがなってかわいいじゃん。」
以上。
大人になると、漢字を使えと言われる。
ひらがなばかりかいてるとバカだといわれる。
…確かに。
ひらがなばかりのもじはよみにくい。
でも、《しあわせ》って四文字でしょ。
それくらいいいじゃん。
なんて、誰からも突っ込まれてないかわいいの反発を、
この写真を見た時にふと思い出した。
私は今日も、あまーいものが大好きだ。